会長の思い出15
2011-11-01
マルマンゴルフフェアの成功によって社長からゴルフ用品の販売を認められたのですが、
やくざ屋さんとかガラの悪い人たちの間でもゴルフが流行っていましたので
そんなお客が増えてしまいました。
そんな人たちは入ってくる時の挨拶も違います。
「こらぁ!安うしたれよー!!」と言いながら入店してくるのです。
こちらは普通に「いらっしゃいませ。」と言うしかないのですが。
買う時もめちゃくちゃ値切ります。
そういう人たちはパターの練習やアプローチの練習をしながら、
しぶとくしつこく、時には脅しも交えながら値切ってくるのです。
会員になってもらったら20%引きという事で、
当時としては安いと評判になっていましたから、
社長からもそれ以上は絶対に引くなといわれていましたので
いくら言われてもそれ以上は引かないように頑張っていました。
中には「こんな店二度と来たるか!」と怒って帰る人もいたのですが
こちらも粘り強くやっているとだんだんと浸透していきました。
ある時、神戸の組長と山総建設と名のっているけれども
実はやくざという人たちがやってきて
2セットで80万円のクラブを注文してくれたのです。
そして近くの山総建築の事務所へ届けてくれと言うのでした。
後日入荷して届ける時に、昔社長がやったように店員に
2時間経って帰ってこなかったら、
警察に事情を言って呼んでくれと頼んで向かいました。
事務所へ入ると女性の事務員さんがいて普通の建設会社の感じでしたが、
応接室に入ると虎のはく製や刀が飾ってあって異様な雰囲気で
ゾッとした事を覚えています。
しばらくすると神戸の組長と二人が入ってきて
「兄ちゃんよう届けてくれたなぁ。なんぼや。」
と言うので「80万円です。」と応えると「よっしゃ。」と言って
80万円現金で払ってくれたのでした。
「これからも遊びに行くから安うしてや。」と言われて
事務所を出たときにはほっとしました。
それからよく買ってくれたのですが、近くのファッションホテルを買い取ったから
そこにジャケットをみつくろって持ってきてくれと言う電話が入ったので
ファッションホテルの事務所に行ったのでした。
普通に買ってくれたのですが、「これおもろいから見ていくか。」と言うので見ると
モニターがたくさん並んでいるのです。
「これで部屋の中、覗けるから見ていけや。」と言うのですが、
そんな事に関わったら大変な事になると思い逃げて帰りました。
やはり、普段はニコニコしていい人やけど、やってる事は怖いなぁと思ったのでした。
しかし、最後に
「このジャンパー貰っとくで。そやけど今金無いんで次の時に持ってくるわ。」
と言うので、いつもたくさん買ってくれるし、
1回くらいいいかと思って渡してしまったのです。
2~3日経っても来ないので事務所に行ってみたらもぬけの殻でした。
ついに3万円やられてしまったのです。
他にも、よく買ってくれた親分がいたのですが、子分が
「うちの親分よう買うてるやろ。ちょっとこのグローブ、サービスで貰っとくで。」
と言ってお金を払わず店を出ていくので、駐車場まで追いかけていって
ジャケットの内ポケットに手を入れると財布があったので取り上げると
「金くらい払うたるわ、なんぼや。」と払って帰りました。
絶対に許してはいけないと必死でした。
こんな事は毎日のようにあり、大変だったのですが、
しかし、売るためにはそれも我慢するしかないかと思うと
いつも社長にこんなところで商売をするのはイヤだとか、
麻雀やゲーム場や宴会屋みたいにガラの悪い人たちが
集まるような商売は止めようと言っていた自分を思い出すのでした。
この場所で必死になって物を売って商売しようとすると、
結局、親父と同じような事をやってしまうんやなぁ、としみじみ思ったのでした。
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